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改めて小選挙区制の廃止を求める
 小選挙区制は民意を反映しない。選挙区の中で1名しか当選しない。小選挙区制のもとでは少数政党は到底選挙に勝てず、少数派への投票は、ほとんど「死票」となる。選挙を重ねていくとやがては、二大政党とならざるを得ない。そして、そうなればますます二大政党のどちらかでないと勝てない。そうすると、国民としては二大政党のどちらかしか選択肢がなくなり、多様な国民の意思が反映されないことになる。極端な言い方をすれば、それは「二党独裁制」に等しい制度である。民意を反映していない以上、「国会の多数」は茶番にも等しい。これは私の持論であり、これまでも述べてきたところである。

 2009年8月30日に行われた第45回総選挙は第44回総選挙同様に極めてわかりやすい形でその事実を示した。それは数字を挙げると明らかである。
 小選挙区300議席中の獲得議席数、その獲得率、実際の得票率を並べると次の通りである(5党のみ示し他の政党は省略。また%は四捨五入とした)。
 
  民主 自民 公明 共産 社民
獲得議席数 221 64 0 0 3
獲得率 73.7% 21.3% 0% 0% 1%
実際の得票率 47.4% 38.7% 1.1% 4.2% 2.0%
 実に民主党は47.4%の得票率で73.7%の議席を獲得し、逆に、自民党は38.7%の得票率がありながら、21.3%の議席しかない。
 共産党は4.2%の得票率がありながら議席はゼロである。
 一方比例区の得票率は、次の通りである。
 
民主 自民 公明 共産 社民
42.4% 26.7% 11.4% 7.0% 4.3%
 小選挙区の得票率よりも、選択肢の多い分だけ民意を反映しているといえる。
 衆議院議席数の480(選挙区300、比例区180)をこの比例区における得票率で割り振るとあるべき議席数は、
 
民主 自民 公明 共産 社民
202 128 55 34 21
となる。
しかるに、現実の獲得議席数は、
 
民主 自民 公明 共産 社民
308 119 21 9 7
であり、民主党は本来の(比例区に見られる)得票率からすれば202議席のところ、何と308議席も獲得している。
 この増えた106議席は、「小選挙区制」というイカサマ制度によるものであり、民意からはずれてインチキでかすめとったものといえよう。
 では、現行のブロック制比例区は民意を反映しているか。
前記同様、比例区の得票率で比例区議席数180議席を配分した数と、実際の議席数を比べると次の通りとなる。
 
  民主 自民 公明 共産 社民
あるべき議席数 77 48 21 13 8
実際の議席数 87 55 21 9 4
 民主党と、自民党が取りすぎである事がわかる。
 比例区といっても全国11ブロック制である為、全国的に広範囲に渡って候補者を出せる大政党が強く、全国で候補者を出す事の出来ない小政党の場合候補者が少ない(或いはいない)為に、死票になるといういわば「小選挙区効果」が生じているのである。小選挙区で、議席数を余分にとられてしまった自民党もここでは「7議席」余分にとっている。
 つまり比例区も「ブロック制」では完全に民意を反映しないのである。
 自民党から、民主党へと大きく動いた第45回総選挙であるが、では、実際の得票率はどのくらい動いたのか。小選挙区でみると次のとおりである。
 
  第44回 第45回
自民 47.8% 38.7%
民主 36.4% 47.4%
 つまり、わずか10%前後の移動にすぎない。
 にもかかわらず議席数は
 
  第44回 第45回
自民 296 119
民主 113 308
 と大きく動いているのである。
 わずかな得票率の移動が結果を大きく変えるという点でも小選挙区制は民意を反映しない。
 長々と数字を羅列して述べてきたが、要するに第44回総選挙も第45回総選挙も「自民党」と「民主党」が入れかわっただけで民意を反映しない、という本質は全くかわらない。即ち、第44回総選挙で、「自民党は47.8%の得票率で、73%の議席数」を獲得したが、第45回総選挙では「民主党は47.4%の得票率で、73.7%の議席数」を獲得した。
 政党名が入れかわってはいるが、インチキの数字の似ていることに驚くばかりである。
 民主党鳩山代表は、民主党勝利のあと、「これは民主の勝利である」と強調した。
 民主党が本当にそのように思うのなら、国民の意思を反映しない小選挙区制度は直ちに廃止すべきである。
 ところが、民主党は逆に比例区部分を縮小しようとしている。これでは「国民の勝利」と言いつつも、およそ民意をくみ取る気持ちがないといわざるをえない。
 マスコミも選挙制度そのものの矛盾を的確に批判すべきであろう。マスコミが権力チェックの役割を忘れてしまえばその存在意義はない。
 ともあれ、小選挙区制度という茶番を許している限り、日本が民主主義国家であるなどとは、およそ恥ずかしくて言えない。
 
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