大川法律事務所
サイトマップ お問い合わせ
 
 
トップページ
トピックス
弁護士等紹介
事務所案内
取扱業務
ご相談窓口
弁護士Q&A
費用について
主な活動
講演記録
コラム
主張
趣味の頁
主張
contents
改めて小選挙区制の廃止を求める
(1) 私は小選挙区制に反対である。
   1994年の導入時には大阪労働者弁護団として反対の声明を出し、私自身が記者クラブにも赴いた。当時、担当記者が「そんなことを言って、今の連立政権から元の自民党政権に戻ったらどうするのか」と興奮して反論してきたのを今も覚えている。しかし自民党政権に戻ろうと、悪い制度は、悪いのであり反対しなければならない。以来私は、一貫して小選挙区制度に反対している。小選挙区制が民意を反映しないことはこのホームページでもこれまで繰り返し主張してきた。
 「民意を反映しない」理由は、多くの得票が死票となることであるが、もう一つ別の観点からすれば、2大政党になれば「入れる政党が無い」という点でも民意を反映しない。2大政党は自ずと政策が似てくる。第三の選択が無いと言うだけでなく、そもそも2大政党の政策そのものが同じ場合は選択肢がなくなる。
 2010年参議院選挙はいみじくも2大政党制となった場合の欠陥が露呈されている。改めて言うまでもなく、参議院選挙区には「1人区」から「複数区」まで色々とある。ちなみに参議院大阪選挙区は「3人区」であり、つまり3人が当選する。この場合の、「1人区」が、小選挙区制にほかならない。つまり、一人しか当選しないのである。
 では何故民意を反映しないか。その一例として消費税を例に挙げれば明らかである。民主党も自民党もそのマニュフェストで10%引き上げを打ち出した(正確に言えば、民主党の場合は、菅首相が6月21日の記者会見で10%引き上げに言及した)。つまり、日本に置いて、2大政党制が実現しており、民主党か自民党かの選択しか無いとすればどうか。これほど怖いことはない。つまり自民党にいれようが、民主党に入れようが、どっちにしても消費税10%の引き上げとなるのである。民意が反映されないままに、重要な政策が断行されていく。これは民主主義に大きく反する。
 そもそも消費税引き上げは極めて問題である。
 本稿では消費税論議を詳論するつもりはないが、私はマスコミが財務省と一体になって煽る「財政赤字状態」なるものにも疑問を持っている。しかし仮に日本経済が「赤字」としても、まずは支出に無駄はないのかと言う見直しを徹底的にすべきである。それは防衛予算も含めタブーなく全ての見直しをすべきものである。
 その上で、どうしても「増税」が必要としてもそれが「消費税引き上げ」である理由はない。「消費税」は、所得の低い者ほど、所得の中で消費税が占める割合が大きくなる逆進制であり、弱者に厳しい、実質的には大変不平等な制度である。従って、仮に、税の増収が必要だとしても、それは、法人税・所得税の引き上げなど別の施策で行うべきである。
 消費税を上げる事には、私は、反対である。
 少し横道にそれたが私の言いたいのは、2大政党制になれば、このような国民的大問題が、民意を反映されることなく実行されると言うことである

 消費税引き上げに反対すると共に、選挙制度を民意を反映する方向で改正していくことが急務なのである。
(2) ところでもう一方財政論にからめて極めて危険な議論がある。
  それは、増税前の「議員削減」というまやかしである。
 増税の前に「無駄の削減を」ということ自体は私も賛成である。おそらく無駄の削減自体は、誰も異存はないだろう。しかしここで、大変危険な議論がある。それは、無駄の削減、公務員の削減、そして、議員の削減と無批判に議論を飛躍させていき、そして、国会議員の比例区選出議員数の削減が必要だと煽られていることである。
 現に、国会議員の定数削減は、2010年参議院選挙において、民主党、自民党、みんなの党などのマニュフェストとなっている。
 しかし国の財政論と、比例区選出議員の削減は全く別の問題である。
 もともと、現在の「小選挙区制」(衆議院では、比例区以外は全て小選挙区制であり、参議院では、一人区は小選挙区制である)は、「民意」を反映せず問題であることは前述の通りであり、私は、それこそ1994年以来繰り返し訴えてきた。本来の民主制は、国民の政治意識・投票行動がそのまま(言わば日本のミニサイズとして)国会に反映されねばならない。しかし小選挙区制度だとそうはならず、小泉郵政選挙の時も、昨年の鳩山マニュフェスト選挙の時も、大雑把に言えば、第一党は「47%の得票で73%の議席を得ている」、つまり、得票以上に議席を不当に占有しているわけであり、決して民意を反映していない。これも別項で述べてきたところであるがそもそも小選挙区制度という制度そのものが持っている欠陥である。
 逆に、投票が生きる比例制度こそが、民意を反映する選挙制度だ言えよう。
 その意味では、小選挙区制を無くして中選挙区或いは比例区を増やすという方向での選挙制度改革ならともかく、逆に、比例区選出議員を削減するというのは民主主義に反し、決して許してはならないのである。
 増税論議にからめて、議員削減というまやかしに決してごまかされてはいけない。
3. インターネット選挙解禁へ向けて
   そもそも今回の参議院選挙の前に、インターネットを利用して選挙運動を行うことが可能とする第一歩の改正が行われるはずであった。しかしそれは成立しなかった。民主党の党利党略で選挙日を決め、民主党支持率がV字回復した今こそ、出来る限り急いで選挙を行うべきとして、民主党は全てに選挙を優先したのである。7月11日投票を先に決めた為に、公選法改正案は成立することが出来なかった。
 インターネット選挙は何よりもコスト削減という大きなメリットがある。それは、小さな政党にとっては有り難い。大きな政党は、政党助成金を多額にもらっているため、テレビ宣伝も十分に出来るように、コスト削減による有り難みは相対的に低い。
 一方、国民の立場からすれば、判断の材料たる情報が増えるので望ましい改正である。
 そうであれば公選法改正はあくまで市民の立場からなされるべきであり、党利党略を優先して、公選法改正を先送りした民主党の責任は重い。
(4) 選挙制度の有り様は、民主主義の根幹に関わる。
   選挙制度は何よりも、民意を反映する制度に改めることが重要である。
 改めて小選挙区制の廃止を求める。
 
線
contents
ページの先頭に戻る
 
Copyright Okawa Law Office