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共謀罪の内容とその問題点
1. 共謀罪とは
   共謀罪とは、具体的な犯罪について「2人以上の者が話し合って合意すること」だけ で処罰することが出来る犯罪のことをいう。
 共謀罪法案は国民の大きな批判をうけて、過去3度(2003年、2005年、20 09年)廃案になった。
 共謀罪がなぜ問題なのかというと、人は色々なことを思ってもそれだけで処罰される ことはなく、犯罪行為に至ってはじめて処罰されるという近代刑法の原則に反している からである。つまり共謀罪は、基本的人権である思想の自由、良心の自由、表現の自由 を「処罰」することになる。それゆえに許されないのである。
2. 基本的問題点
   ところが今回、新たに「テロ等準備罪」という略称で法案が上程された。
 政府は1共謀罪とは違う2テロ対策、オリンピック実施の為に必要3条約批准の為に 必要等を理由にする。
 しかし、これは事実に反する「印象操作」を駆使しているにすぎない。
 法案の内容をわかりやすく説明すると次の通りである。A,B,C,D,...が「計画」 する(法案は「計画」という言葉にかえたが「共謀」と同じである)。
 Aが「準備行為」をした。これでAは無論のこと,B,C,D,...も処罰される。つ まり共謀罪に他ならない。
 これを「共謀罪」と違うというのは間違った説明であり、ここに政府の不誠実さが伺 える。
3. 立法事実はあるのか
 
(1)
 政府はTOC条約(国連越境組織犯罪防止条約)批准の為に必要だというが、そも そもの条約の目的はもともとはマフィアなどの経済犯罪防止であった。しかも我が国 では何らの新設・法改正を必要としない。現に他国でも法改正していない国が多いの である。
 しかも、もともと政府は条約のために676を超える犯罪が必要と述べていた。
 それが今回277になったのである。そうするとこれまでの676の説明は嘘だっ たことになる。
(2)  オリンピック、テロ対策の点も事実に反する。共謀罪はそもそも2003年から上 呈されているがそのときにはオリンピックは念頭におかれていない。また2月におい て法案に「テロ」の文字はなかった。それを批判されて急に「テロ」の文字をとって つけたものである。
 2015年の戦争法国会では、安倍首相自身「日本は世界で一番安全な国である」 とのべていた。現にその後、2016年伊勢志摩サミットも無事行われている。実際、 我が国においては「テロ資金処罰法」「ハイジャック防止法」「サリン等人身被害防 止法」などテロ対策の法律は十分に存在しているのである。
これらは、テロ対策が立法事実ではないことを示している。
4. 「テロ等準備罪」法案の問題点
 

 以上見てきた通り、今回の法案の本質は「共謀罪」であり、冒頭にのべた批判はその ままあてはまる。
 構成要件(「計画」「準備行為」)はあいまいで広すぎる。そして広範な犯罪を対象と している。
 反対論者が批判する例、居酒屋事例(すなわち居酒屋で部下達が上司を殴ったろと喋 ること)、を条文上は排除しきれていない。国会で問題になったキノコとりすら対象と なっている。そして、共謀罪は処罰されること自体も問題であるが、それ以前において そもそも「捜査の対象」となること自体も問題である。仮りに後に無罪となっても逮捕 ・勾留自体が市民に大きな打撃となる。そして捜査の為に広範な監視社会となる。
 推進派は濫用はないというが、実際は現在でも濫用されている。
 逮捕・勾留の濫用として沖縄の山城博治氏の例、あるいはレンタカーの割り勘でも白 タク営業として逮捕・勾留している。このように現在でも濫用されているのに、共謀罪 のみ濫用はないというのは全く信用しがたい。
 結局、政府にとって都合の悪い運動を弾圧する道具になる。例えば「抵抗」運動は、 「組織的強要」とされかねない。「座り込み」は、組織的業務妨害共謀罪とされかねな い。「宣伝活動」は、文言をとらえて信用棄損・偽計型の組織的業務妨害共謀罪とされ かねない。このような危険な法案は廃案しかないのである。

5. まとめ
 

 私は、豊中国有地疑惑を最初に指摘した木村真豊中市議の代理人をしているが、もし も、「共謀罪」が成立していれば、早い段階で木村氏がつぶされていた可能性がある。 そうなればアッキード事件は闇に隠れたまま今頃「瑞穂の国記念小学院」は開校してい たかもしれないのである。決してこのような無気味な社会にしてはいけない。

  以上
 
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