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講演記録 |
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プライバシー・個人情報と人権〜事例から考える |
1. |
総論 |
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1) |
プライバシーの権利 |
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(1) |
プライバシーの権利は、1890年アメリカより「ひとりで居さしてもらう権利」として発展。今日の日本でも、明文はないが、憲法に根拠をもつ人権とされ、その侵害があれば、損害賠償や差止めという救済方法がある。 |
(2) |
とはいえ、権利の範囲は限界事例ではあいまいであり、救済のハードルも高い。 |
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2) |
個人情報とは |
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(1) |
個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう(2条)。
※個人情報とプライバシーはどう違うか。
判例は「プライバシーすなわち『他人に知られたくない私的事柄をみだりに公表されないという利益』については、いわゆる人格権に包摂される一つの権利として、『他人がみだりに個人の私的事柄についての情報を取得することを許さず、また、他人が自己の知っている個人の私的事柄をみだりに第三者へ公表したり、利用することを許さず、もって人格的自律ないし私生活上の平穏を維持するという利益』の一環として、法的保護が与えられる。」とする。
個人情報は、情報の内容・性質を問わないので一般にはプライバシーよりも広い概念。 |
(2) |
個人情報保護法における4つの場面(①顧客情報の収集②顧客情報の管理③顧客情報の利用④顧客の自己情報コントロール権に対応する)の「個人情報取扱事業者」(企業、会社等)の義務
cf.条文参照
※今日、過剰保護が問題となっているように「個人情報」の全てが何でもかんでも保護されるわけではない。 |
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2. |
各論-事例 |
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(1) |
プライバシー編
[よくある問題]
①有名人にもプライバシーの権利はあるのか。
②犯罪報道で、容疑者のことを書くのはやむを得ないとしても、容疑者の家族のことをあれこれ書いてよいのか。
③会社は従業員の健康状態を勝手にチェックしてよいのか、又、従業員が病気と知ってそれを第三者に伝えてよいのか。
④会社が、従業員の社内メールをチェックしてよいのか。
[質問から]
①IT社会の中でのプライバシーの保護と対策及び注意すべき留意点等について。
②1人暮しや寝たきり老人等に対するプライバシーの問題(家の中へ入って行かなければ判らない事情がある)
③プライバシーの家庭事情(例虐待等)に対して、どの様にあるか。
④25日近所の騒音と少し知恵遅れの人に対する対処の仕方(夜中に奇声を発する)
⑤プライバシーの侵害について、井戸端会議はどうなりますか。
⑥ビデオの設置していて、あまりちゃんと写っていませんが、「あなたらしい人が時々写っているので、あなたが犯人ですね」と言うのは侵害でしょうか。(盗難のよくある学校の更衣室前に防犯カメラがあって、生徒に対して先生が言うそうです。本人が知らないと言っても出入りする姿が写っているから嘘をついている・・・とか生徒に対してこういう言い方は良いのでしょうか?
⑦新聞に掲載された顔写真などは肖像権の侵害にならないのか。 |
(2) |
個人情報編
[よくある問題]
①学校は、生徒について外部の問い合わせに答えてはいけないか。
②学校で卒業生の進路先情報を在校生に見せてはいけないか。
③緊急連絡網は作ってはいけないのか。
④社員名簿を配布してはいけないのか。
⑤会社で営業担当者の成績表は掲示できないか。
⑥病院で、患者の名前の張り出しは禁止しなければならないか。
[質問から]
①昨年国勢調査が実施された調査員として各家庭を回ったら、保護法を勘違いされて、協力的でない方がいた。過剰反応に対して、国等の対策等もう少し解りやすく周知していく方法は?
②電話によるセールスに困っている。
③電話番号簿などはどう考えたら良いのですか。
④災害や緊急時の個人情報取扱について、団体などがガイドラインをつくる際に留意すべき事柄があればそれはどういったことですか。 |
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