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身元調査と人権
1. 身元調査とは
  個人の素性や身上関係の情報を収集・調査すること。
個人や企業の信用情報の収集も含まれる。
2. 身元調査の問題点
 
(1) 人権侵害の危険性
身元調査の一般的な目的は、調査対象者の個人情報や信用の可否を調べることにあるが、問題になるのは、部落出身者の出自を明かすことなどいわゆるセンシティヴ情報.の調査・収集が、憲法で保障されている基本的人権(婚姻・就職・思想等の自由)を不当に侵害し、人格権侵害、プライバシー権侵害、名誉毀損等につながることにある。cf.判例①
(2) 身元調査の方法
戸籍謄本や戸籍附票、住民票などの公簿類で確認するほか、聞き込みなどの方法を用いて行われる。
(3) 具体的事件
①部落地名総鑑事件
最初の地名総鑑は「人事極秘部落地名総鑑」(企業人材リサーチ協会・企業防衛懇話会・坪田義嗣発行、30,000~45,000円、1975年4月~11月)である。他にも9~10種類発行されているといわれ、本年2月にも新たに発見されるなど後を絶たない。
②戸籍謄本不正入手事件(後述)
(4) 広がりの判明と批判の運動
①〈部落地名総鑑〉以外にさまざまなリストが存在していることが判明。
たとえば〈旧土人〉リスト、〈琉球人〉リスト、在日朝鮮人名簿、共産党員名簿、民青同盟員名簿、労働組合員リスト、新興宗教信仰者名簿、〈前科者〉リストなどである。
②身元調査に対する広範な反対運動
・糾弾闘争
・身元調査お断り運動
・条例制定運動など
センシティヴ情報とは、情報の種類、性質に照らし、不当な差別等に結びつく可能性が高いことから、情報の収集、利用、提供が原則として禁止される情報。一般的に①人種及び民族、②門地および本籍地(所在都道府県に関する情報を除く)、③信教(宗教、思想および信条)、政治的見解および労働組合への加盟、④保険医療及び性生活などがあげられる(通産省ガイドラインより)
3. 戸籍謄本不正取得密売事件
 
(1) 戸籍謄本不正取得密売事件とは戸籍謄本を不正に取得し、それを密売する事件を総称したもの。
(2) 1976年以前(閲覧自由)
(3) 1976年改正(規則改正により、閲覧目的の明示と拒否規定新設。但し、有資格者は閲覧目的の明示不要)
(4) 不正取得のパターン cf.判例②
①申請書偽造②有資格者詐称③有資格者自身の不正
(5) 1986年統一請求用紙(有資格者のみ利用可・管理。目的明示)
(6) 改正の動き
依頼者明示についての日弁連の反対
4. 最近の動きー
 
(1) あとを絶たない身元調査
(2) 人権意識の広がり
(3) 戸籍法改正の動きについて
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