1. |
はじめに |
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2005年に監獄法が抜本的に改正されたが、その一環として、新たに設置された民間人からなる刑事施設の視察機関。 |
2. |
法改正にいたる経緯 |
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1) |
受刑者の実状 |
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刑務所は全国77カ所
男子刑務所49・刑務支所8・女子刑務所5・少年刑務所7・医療刑務所4
社会復帰促進センター4(2007年より半官半民施設)
受刑者数 約7万人(2009年2月現在) |
2) |
大きく制約された受刑者の人権 |
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(1)受刑者の日常生活
①呼称番号・入所時検査(個人と尊厳)
②食事(質・量・時間)
③衣類(灰色服統制)
④日用品(支給・自弁の制限)
⑤入浴(回数・時間制限と入浴方法の規制)
⑥運動(時間・場所)
⑦医療体制(不十分)
(2)外部世界との制限
①発信・受信(制限・検閲)
②面会(制限・立ち会い)
③新聞・図書(制限・黒塗り)
(3)刑務作業
労働でないという思想
(4)規律・懲罰
①軍隊方式
②懲罰(保護房・厳正独居・安座姿勢・革手錠)
③不服申立制度(不十分) |
3) |
被拘禁者の人権 |
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国際的な水準
被拘禁者処遇最低基準規則
自由人権規約
日本は被拘禁者(未決・既決とも)の人権保障が十分でない |
4) |
名古屋刑務所事件の衝撃と法改正の動き |
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(1)名古屋刑務所事件
2001年12月 全裸の受刑者に消防用ホースで強烈な勢いで水をかけて死亡
2002年5月 革手錠で施錠させ受刑者死亡
(2)監獄法(1908年・明治41年制定)改正の動き
2003年4月 行刑改革会議(法務大臣私的諮問機関)
同年12月22日 同提言
提言の基本的な考え方
①受刑者の人間性の尊重
②自発的で自律的な改善更正の意欲を持たせる処遇
③社会復帰と更正が犯罪発生を減少させ国民全体の利益につながる
④行刑の透明性確保と社会の接点の増加
刑務所視察委員会設置の提案
☆資料1 2005年5月「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」成立
2006年5月「刑事施設及び被収容者の処遇等に関する法律」と改題
2007年6月「刑事施設における刑事被告人等の収容等に関する法律」廃止 |
5) |
主な改正点 |
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①刑事施設視察委員会の設置
②矯正処遇の実施(従来の刑務作業中心から)
③受刑者の生活水準の保障(保健・医療・運動の改善)
④受刑者の外部交通の拡大
⑤不服申立制度の整備
⑥規律秩序維持(「厳正」から「適正」へ。名古屋事件の革手錠は廃止)
※必ずしも行刑改革会議の提言通りではない |
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3. |
刑事視察視察委員会の内容 |
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1) |
根拠と委員会の役割 |
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行刑運営の透明性の確保のシステム
役割は意見具申でその為の調査に施設に協力義務 |
2) |
昨年の実績 |
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限られた権限の中で、意見具申が、改革につながっていることもある。 |
3) |
大阪刑務所の場合 |
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(1)大阪刑務所とは
いわゆるB級刑務所(再犯者と暴力団関係者)
☆資料2,3
(2)施設視察委員会は具体的に何をしているか
委員は9人(弁護士、医者、大学教授など)
年6回の会合
受刑者向けニュースの発行、提案箱、親書、面談の訴えの分析
刑務所に事情を聞く
年一回の意見 等 |
4) |
課題 |
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(1)役割の限界 施設を視察し、運営に関して意見を述べる
(2)調査権限 情報提供は委員会の権限とはなっていない(法9条)
(3)人選 各団体の推薦の尊重 |
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4. |
弁護士会の役割 |
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1) |
弁護士と人権擁護 |
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全ての人の人権が保障される社会へ |
2) |
刑事施設視察委員会に対する弁護士会の取り組み |
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一貫して、監獄法改正への取り組み
刑事施設視察委員会の設置へ向けての日弁連のリード
設置後の、各地での取り組み強化
①委員推薦
②委員会をリードすること、積極的取り組みへの情報提供
③弁護士委員の全国連絡会議
④各地でブロックごとに委員の情報交換するように指導 等 |
3) |
さらなる人権擁護と改正へ向けて |
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【添付資料】 |
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資料1 行刑改革会議提言(抜粋)
資料2 大阪刑務所パンフレット
資料3 日弁連資料「知ってほしい刑罰のこと」 |
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以上 |