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憲法・森友・選挙権
第1 改めて振り返る憲法の原点
1. 憲法(Constitution)の言葉
 
(1) 「憲法」という言葉
「憲」の字源と意味は目の上に入れ墨を入れる刑罰とのこと。「憲」の真ん中の部分が「目」、その上の部分が「入れ墨用の針」を意味する。そこから掟や法の意味へ。
(2) Constitutionとは
意味はラテン語の「con:共に」+「statuere:立てる」で、そこから構成とか構造といった意味へ。更に互いのチェック。本質はコントロール統制。
(3) Constitutionを「憲法」と訳したところに誤解が生じた。
Constitutionalism(立憲主義)とは「憲法に立脚する」という意味であるが、Constitutionが統制(権力担当者に対する統制)であることが理解されていない為に、立憲主義への無理解が生じた。
2. 立憲主義の基本原理
 
(1) 立憲主義とは
「国の統治が憲法に従って行われねばならない」という考え。
中世の法思想において存在〜「中世立憲主義」の歴史的意義。
(2) 近代立憲主義の成立
絶対主義との闘いの中で成立。
自由の保障→「人権」の確立へ
権力分立→更に立憲主義の現代的変容
(3) 人権とは
人であるというだけで認められる基本的な権利
歴史的経過の中で確立。
 17C〜ジョン・ロック(権力分立)
 モンテスキュー(三権分立)
 ヴォルテール(あなたの意見に反対だが・・・)
1948年世界人権宣言(←米独立宣言、フランス革命など)
1946年日本国憲法
(憲法97条)この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
※人権は世界基準
 天賦人権説(今日の世界的基準に対して自民党改憲草案の古さ)
(4)

立憲主義と民主主義
 民主主義=治者と被治者の同一性
 立憲主義=自由の保障、権力の制限
 「主権者」と「権力者」との違い。
主権者は人民。
人民の中から、三権を任す人を決め、委ねる(それが「権力者」)。
しかし委ねられた者は濫用してはならず、人民・国民の為に行使すべき。
権力者がやるべき事、やってはいけないことを定める(それゆえ「統治」「人権」)。→法律は憲法に反しえない。
改憲は主権者しかできない
無論、政府が解釈改憲も出来ない
 民主主義と立憲主義の関係
民主主義だけでは、少数者の人権は守られない。

3. 現代立憲主義
 
(1) 改めて「立憲主義」を区分すると
 
中世立憲主義
近代立憲主義
※通常「立憲主義」とはこの立憲主義を指す=権力分立と人権保障
現代立憲主義(この定義は一様でない)
に加えて国民主権、軍隊への統制、違憲審査権などを指すのが一般
(2) 我が国の現代立憲主義
 
明治国家も立憲君主制国家(天皇機関説)。それが軍部独走により脆くも滅びた。
戦後、日本は、君主主義、軍国主義を憲法から切り離した。(天皇主権→国民主権は、理論的には八月革命説)
現代立憲主義の要素と言われる「軍隊への統制」は、戦後我が国は9条という形で実現させた。
4. 安倍首相の憲法観
 
(1) 2018年1月22日施政方針演説
首相「国のかたち、理想の姿を語るのは憲法だ」
立憲民主党の枝野幸男代表「憲法は国民が公権力を縛るためのルールだ」
(2) 首相は2月6日、公権力を得るものと言いかえたが、合わせて「理想を語る」という自己の憲法観を変えなかった。
(3) 国家が「国のかたちの理想を語る」のは現行憲法(価値の多様化、思想、信条の自由)に合わない。
古い憲法観であることを自白している。
(4) そして、今、民主主義・立憲主義が公然と破壊されようとしている。
   
第2 森友事件
1. 森友事件とは
 
(1) 教育勅語を主体とする右翼の学校設立に憲法・法律をねじ曲げて便宜が図られた事件。
☆安倍=松井の意気投合
(2) そして便宜を図ったのは、安倍首相と松井維新。
☆2・26事件から、モデル校への基準緩和。そして土地取得。
(3) 法治主義・立憲主義に反する。
☆「便宜」は法治主義ではない。
(4) 籠池氏の逮捕・勾留
☆人質司法の現状
(参考)「訴因・安倍晋三」(一葉社)
2. 木村裁判について
 
(1) 3つの時点
 2016年9月の不開示(この黒ぬりの取消を求める)
 2017年2月10日の開示。但し、木村真氏には不開示のまま。
 2017年8月木村氏にも開示(国賠に切り替え。国は「違法はない」)。
(2) 国の態度
国会開会中はとかく引きのばし。今は幕引きをはかる。
(3) 現在の状況
国は情報公開の判断は書かれたことを元にし、その真実調査義務はない。
我々は、「本件は近財は只同然違法値引きの当事者。そのような場合には、通常の判断枠組みと違う」更にこちらは、池田靖、籠池泰典、木村真を証人申請予定。次回、9月25日午前11時。証人採否が決まる。
   
第3 選挙権
1. 民主主義を実現させる為の選挙制度
2. 我が国選挙制度の不合理制
 
政治活動と選挙運動の分別
・民主主義・近代国家のもとでは自由であるべき選挙運動を原則禁止(特定の選挙運動のみ例外的に認める)
・国際人権規約(「不合理な制限なしに」政治参与は市民の権利)
戸別訪問禁止の前近代性
・戸別訪問全面禁止は日本とほんの数カ国しかない
・表現の自由から当たり前の戸別訪問
自書方式の前近代性
・世界的には記号式・マークシート式(自書方式は超少数)
・自書式は現職有利
供託金の参入規制
・供託金制度のある国自体少数
・あっても数万円クラス(日本の供託金は世界一)
・しかも日本には政党助成金制度がある(既成政党・既成政治家は税金で供託金をまかなう)
要するに、現行公選法は市民の自由を奪い、現職を「超圧倒的に優位にする」(ロシア・中国を批難できるのか)
最大の岩盤規制
  ☆自らは、圧倒的な岩盤規制に守られながら、そこに手をつけず、それでいて「聖域なき規制緩和を目指す」といわれても、もはや笑うしかない。
3. 中田裁判について
 
(1) 中田裁判とは
原告中田氏は障害により自書能力に欠ける。
従来認められていた自己の望む者への代筆投票が、平成25年改正公選法(成年被後見人に拡大)で、代筆は事務従事者(公務員)に限られた。その改正公選法を違憲と問う裁判。
(2) 国の論理は、憲法上認められているのは「投票権」のみ。「投票権」は何ら侵害していない。私達は、投票権と秘密投票は一体のものであり、それが実現される方法まで憲法は要請していると考えている。
(3) 次回は12月9日午前11時で、主に国の反論。
    注目すべきはあちこちで自己の望む者の代筆投票が認められていること(情報収集に御協力を)。
   
第4 まとめ
1. 2018年5月3日、毎日新聞のコラム「余録」は、モンテスキューを引いて安倍政治を批判している。
モンテスキューとは、近代憲法の大原則の一つである三権分立を唱えた思想家である。
人類の歴史は一方で人権を確立する闘いの歴史でもあるが、三権分立・人権保障という近代立憲国家を打ち立てるには、文字通りそれを獲得するために血を流した人民の闘いとともに、それを思想的に裏付ける「知の巨人」が不可欠である。
その一人がモンテスキューである。
自民党改憲草案は、天賦人権説をとらないと言っている。(これではモンテスキューの時代である)。安倍首相自身も、憲法は「国の理想を語るもの」とのべている。近代憲法は権力を縛るものとの認識は薄く、安倍憲法観はまるで中世的である。
今、日本では、「憲法を守ろう」という当たり前の集会に対して、あたかも特定の思想だとして妨害を受けている。確かに特定の思想である。しかしそれは、近代国家なら「当然の前提」の思想なのである。
「(権力の一極集中でなく)三権分立」「人権保障」を認めるのが立憲主義であり、近代立憲国家である。
この当たり前のことを言うのが、まるで過激な思想であるかの如く批判されるのは、なぜなのか。もはや中世としか考えられない。
こういう中世的状況を招いたのは、民主主義・立憲主義が身にしみこむように真に国民に根付いていなかったから。
2. 戦後、我国はドイツと違って「闘う民主主義」をとらなかった。闘う民主主義とは「民主主義を否定する者には自由・権利を認めない」という制度である。ドイツはナチスの反省から、戦後、ナチス的なものには自由・権利は与えていない。
   しかし、我々はこういう「闘う民主主義」はとらなかった。私は、学生時代にその理念〈自由の敵にも自由を与え・・・〉を勉強し、いたく感銘をうけたものである。
   ここ2〜3年この問題に思いをはせるのだが。
   しかし結論は色んな意味で「不断の努力」。
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